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ごあいさつ

障害科学学会就任にあたって

四日市 章(筑波大学名誉教授)

このたび、中村満紀男会長の後任として会長に就任致しました。本学会は平成18年度に設立され、はや10年が過ぎました。学会の規模は大きくありませんが、これまで、筑波大学人間系障害科学域の研究活動を基盤として、障害科学分野に関する研究レベルの向上と成果の社会還元のために努力して参りました。また、若手研究者・大学院生の積極的な育成を図り、機関誌への論文投稿の推進、優れた若手研究者の顕彰も継続的に実施しております。同窓会との連携構築は、学会設立当初からの目的の一つでありましたが、社会情勢や人々の考え方の変化もあるのか、一体的な活動がなかなか難しいのも実情であります。

機関誌の発行や大会での研究発表など、学会設立以来進められてきた研究発表活動は安定的な展開をしておりますが、大学をとりまく社会的な状況は急速にまた大きく変化してきております。大学法人化後の大学経営のあり方の変化、理系・技術系研究に対して文化系研究に関する相対的な推進力の低下、研究や関連活動のための安定的予算の減少、学位プログラムの導入推進と教育プログラムの多様化、大学院修了生の就職先確保など、新たな、また大きな課題も台頭してきているようです。

このような情勢のなかで、本学会がこれまで進めてきた、学域研究の社会還元や若手研究者の育成推進といった活動を、今後どのように展開していけばよいのかについて、改めて考えねばならない時期にあるように思います。これまでと同様に、障害科学域や障害科学関連専攻との連携基盤の強化はもちろんのこと、若手研究者の育成に対しても、他大学の関連専門領域との連携も視野に入れながら、より目的を明確化して戦略的に取り組むことが求められるのではないでしょうか。また、国際交流が推進される時流のなかで、学会誌の国際化対応や、組織的研究の推進への協力なども求められるでしょう。一方では、学会活動の経営・経済的基盤の強化も大きな課題となっています。

大学をとりまく状況のなかで、国際的研究や組織的研究による、目に見える成果が強く求められるようになってきました。このようななかで、ともすればその成果が短期的には目に見えにくい、障害や障害児教育に関する研究をどのように位置づけていくのか、さまざまな試みをとおして、関連研究者の知恵を結集して独自の価値観を構築し、提案していくことも求められるのかと思います。若手を含む多くの研究者にとって、さらに厳しい時代へと突き進んでいくように思われますが、そのようななかでも、研究をとおして関連研究者が少しでも活き活きと活動できることを期待し、そのために本学会が貢献できることを模索していければと思っております。